シュガは馬に乗って、青霧山脈へと来ていた。
馬から降りると地図らしきものを広げ、位置を確認する。急がなければ、大雨によって一旦晴れた毒霧が、また谷底を満たしてしまう。
チャグムが生きている証を持ち帰ろうと、更に道を進む。
一ノ妃は泣いていた。そして帝もまた涙を流していた。
サグムの死は、まだ外へと漏らす事が出来ない真実。しかるべき時が来たら、必ずや国をあげて弔う。それまで、辛抱してくれ……。
1人ある場所に立ち尽くして、溜息を吐き出してその場を去る。
廊下を進んでいった聖導師の視界には、ざわめいている星詠み達等の姿。
帝がいなければ、人々の心も乱れる。聖導師は、政が立ち行かなくなると危機感を抱く。僅かに残された望み、それは。
口にハンカチを当てて、慎重に谷底へと降りていれば、そこへ馬の嘶きが響き渡る。
現れたのは狩人達。その中でジンが馬を降りて、抜刀。その刀をシュガへと向けた。
無人を手なずけ、碑文の間に出入りしていた事、聖導師様はとうにお気づきだ、と言葉を発するジン。
モンは、自分達が聖導師の命で青霧山脈に来た事を告げ、シュガ様がこの地に赴いたのは、チャグム皇子が生きておられると考えての事だと察するが、その推理どこまで自信がおありか、と続ける。
シュガは碑文を読んで、願望が確信へ変わったのだと返答する。するとジンは、刃の先でシュガの顔を上向かせるようにして、もし確信が誤りだったならば、無人と共に骸となり谷底に消えるものと覚悟していただきたい、と言う。
無人へと視線を向ければ、不安気な表情を浮かべていた彼は、表情を一転させて力強くうなずく。
モンが谷底へと降りていく。
そこにあったのは馬の死骸、そしてバルサとチャグムの衣装のみだった。
谷底から上がってきたモンは、死体はなかったと報告する。
チャグム生存の確率は高まった。どうやって見つけ出すか、ジンはその手段を考えているのかシュガに問う。無論だ、言ったシュガに対して、ジンはようやくその刀を納める。
報告のため、一旦宮に戻る事にした狩人達とシュガ。シュガは、サグム殿下もさぞお喜びになると言うが、その瞬間に他の者達の表情は強張る。
ジンは言う。シュガ様、心してお聞きください――。
宮に戻ったシュガの視界には、物言わぬサグムが映りこむ。
あの時、せめて一言、自分がサグムに、チャグムが生存している事を言えばよかったと悔やむシュガ。
そこへやって来た聖導師に対して、シュガはご存知の通りと、自分が碑文を読み進めていた事を明かす。そして、ある重大な事実を見出した、と。
建国正史に大きな誤りがあった事実。それは誰もをどよめかせた。
建国正史がいつわりである事。水妖が、本来はこの地に恵みをもたらす水の精霊である事……。
先住民であったヤクー達は、世祖トルガル帝がこの地に降り立つ以前から、この世とは別の世に、ナユグの存在に気づいており、その狭間におりし精霊のもたらす恵みのある事を、理解していたのです。
その事に脅威を感じたナナイは、表向き別の神話を捏造する事で、ヤクーの伝承を絶やし、我らが新ヨゴ皇国の礎を築いてくださった。
ですが、誤った伝承を伝えたまま、来るべき日が訪れては困ると、碑文の間を作り、我等に真実を託したのです。
あの地下の碑石の一文に、こう詠われた箇所がございました。
星詠みの職務に就きし者達は、100年毎に起こりうるであろう天災に備え、ここに記する文を解読し、絶えず、後世に語り継ぐべし、と。
シュガは、今回の出来事はまさに、自分に対して聖導師が語ったとおり。政に気を取られすぎた、星詠みの怠慢が招いた有事にございます。その証拠に、碑文の示す事柄を追った結果、チャグム皇子の生存をほぼ確認する事が出来たのです。
チャグムは精霊の卵を抱えたまま生きている……シュガの話を一通り聞いた聖導師は、未だ晴れない乾きの相に対しての説明を求める。
乾きの相は水の精霊の生まれ変わりに際しての、あらかじめ定められた相。あの時、もし皇子を殺していたら、この地に2度と水の恵みはなかっただろう……。
突然割って入った声は帝だった。その話が真実かを問う帝に、自分はそう確信していると答えるシュガ。チャグムは間違いなく生きているのだな、との問いにも、姿は拝見していないが、間違いないかと、と返答する。
帝に対して、自分に捜索の権限を与えてくだされば、数日の内にチャグムを見つけると言うシュガ。聖導師も、シュガに全権を与えてくれるように帝に頼む。
帝は、シュガにその権限を与えた。
そしてシュガは、帝捜索に際し、借りたいものがあると言った。その視線は、狩人達へと向く。
頼まれ屋として店を持ったトーヤとサヤ。そこへ来訪したのはタンダ。
客としてやって来たタンダはメモ紙を渡し、これらの荷物を、そこの場所へ届けて欲しいと頼む。出来れば今日か明日中に。
そんなやり取りを、近場の宿の2階から覗いているのはシュガ。そこへかかるのは狩人の声。もうそろそろ、仕掛けようかと思います。
そんな事など知らぬわけはない、トーヤ達。バルサが、どこか遠くへ旅をするのかもしれないと察したトーヤは、上手く分からないように運んでおくと言う。
タンダが金を渡そうとするも、受け取れないとトーヤ。店を持てたのはバルサのおかげ、恩返しがしたいのだと……。
そしてタンダが立ち去った後、店には棟梁の姿をした人物が現れる。
その後、立ち話している2人を眺めるモンとシュガ。シュガは、狩人の力量に素直に感心していた。ジンは語る。諜報こそが、狩人の本懐だと。そして、黙ってみていてくだされば、すぐにカタは着く、と。
頼まれ屋内部。トーヤが手形を切る隙に、台帳を持ち出した棟梁。それは狩人のゼンが扮した姿であり、彼は外に控えていたユンにその台帳を手渡せば、凄まじい速度でその内容を頭に叩き込んでいくユン。
そして何事もなかったかのように台帳は戻され、ユンは1人宿へと戻る。そして、彼は台帳の内容を書き出し始める。
トウミ村へ向かうための旅支度を始めるバルサとチャグム。
お金が心もとないと言う事で、バルサはチャグムと共に街へと向かう事にする。
モンは、台帳に記された場所を、部下達に2人ずつで順番に当たるように命じる。
短槍使いの隠れ家を見つけたら、必ず1人を見張りに残し、すぐ連絡しろ。我等全員で、一斉に奇襲をかける。単独で仕掛ける事は絶対に許さん。今度こそ、確実に仕留める。
モンはシュガに視線を向ける。シュガは、何も言う事はない。任せると言うが、皇子奪還の際には、必ず自分も同行させて欲しいと言う。
自分がいなければチャグムが恐れるとの言葉に、皇子の身を案じているのは貴方様だけではござらん、と食ってかかるジン。制止するモン。
シュガは一旦宮に戻り、碑文をさらに読み進める手筈を整えると言う。皇子が戻り次第、皇子の奇跡の生還を演出し、未だその死を公にしてさし上げることすら叶わない、サグム殿下の国葬も同時に執り行わなければならない。
そのための理由付けが必要になる。場合によっては、建国正史すら書き換えねばならんのだ。
その言葉に、ジンは前に向けていた視線を、ふっと逸らす……。
バルサは街へ行く前に、ある場所へ立ち寄ろうとしていた。
一方その頃、トーヤは店を空ける。モンは、ユンとジンに尾行を命じた。
バルサは墓地へと来ていた。墓が並ぶ中を進み、バルサは奥の石壁の1つを外すと、その中から金を取り出す。家に置いておくのは物騒で、かと言って持ち歩くのも面倒と言う事で、あちこちに隠してあるのだと言う。
街へ行ったバルサは、チャグムに金を渡して、ヘキムームでも買ってきなと言う。
トーヤは駈けていく。それを尾行するユンとジン。
そしてシュガは、バルサとチャグムがいる街へと――。
サグムやはり死んだんだなーと、分かっていたけど、実際遺体見ると切ないものがあります。そして、都合上国葬も出来ない状態ってのがまた……。
あの時の谷には、やはり立ち込めていたのは毒霧。で、まあそこへ降りてしまったおかげで、生存をほぼ確信へと帰られてしまったわけですが、馬の死体。悲しいわ……。
建国正史が偽物だったと言う事も一部の耳には入って、チャグムへの誤解も解けて、いざ捕獲。は分かるんですけど。
何で狩人達はあんなにバルサを殺す気満々なんですか?殺す必要ないじゃない、彼等の辞書には話し合いと言う文字はないのでしょうか。平和的に解決できない事は決してないだろうて。
バルサはチャグムを守るためにいるわけで、狩人がもうチャグムの命を狙っていない以上、双方に戦う理由は存在しないはずなんだけど……何で殺したいオーラ出てるんですか。
やはり1度やられてしまっているからってのがあるのかな。後は、バルサが余計な事を知っているから消しておくべきだと思っているのか。
しかし今回はジンは沢山出るわ、チャグム可愛すぎるわで、素敵でしたよ。
おんぶしてやらないよ。のところで大丈夫だよと言うチャグムのふてくされたような表情、萌えた。
次回、罠にはまってしまったトーヤは、その命を懸けてバルサを……。水車小屋は燃えてるし、何かやばいのかもしれない。
こんばんは。いくらでも来てくれて構いませんよ。
今度のTBは反映されてましたよー、こちらこそ、お手間取らせてしまって申し訳ありません。
トーヤ死亡は勘弁して欲しいですよね、もうあまり人が死ぬところは見たくありません。
はじめまして、こんばんはー。
こちらこそ、TBではお世話になっております。
TBが反映されないようで、申し訳ないです。
コメント、感謝ですよ……!
サグム皇子お亡くなりなってしまいましたね。いい人だっただけに残念です。
私もジン登場には興奮してしまいました、ジン良いですよねー。
チャグムは可愛すぎますよね、もうたまらんですよ。私もおんぶしてあげる気満々ですよ。
こちらこそ、これからもよろしくお願いいたします。
トーヤ死亡だけは勘弁してほしいです(涙)
Sweetパラダイスのさくらこです。
いつもTBではお世話になっております。
こちらからのTBが反映されないみたいなので
コメントで失礼します。
やはりサグム皇子はお亡くなりになられたのですね。
久しぶりのジン登場に興奮気味のさくらこです^^
相変わらずチャグムは可愛いですね。
私がおんぶしてあげるわよ
これからもよろしくお願いします
こんばんは。暑いですねー、早く夏が終わって欲しいと切実に願う今日この頃です。
私も、あの目と言うか能力欲しいですよ。凄く便利だろうなぁ……。
今回は狩人さん、どこか非道な感じが否めませんでしたね。仕事する姿は格好いいとも感じましたが。
子供殺しは良くないですよね、子供殺してしまったら、狩人達ちょっと軽蔑するかな。
小屋燃えてますよね、不安ですよー。トーヤはどうなってしまうのでしょうか。
TB、多分こちらのせいで反映されてない感じです。ごめんなさい……。
コメント有難うございます。
何で戦う気満々なのか、本当に疑問ですよ。戦う必要があるとは思えないんですけどね、バルサと戦おうとしている理由が、今後狩人達の口からでも明らかになればいいのですが……。
水車小屋燃えてる場面気になりますよね!一体何が起こると言うのでしょう。
トーヤとサヤには幸せになって欲しいですよ。トーヤ死ぬとか、勘弁して欲しいです。生きて欲しい……!
狩人さんたち、モン、ジン、ゼン、ユンみなお揃いでしたね。一目見ただけで記憶できる目が欲しい。
でも、あれじゃ狩人さんたちがものすごい人非人みたいでした。トーヤたちもだまして。やっぱり、どの陣営に属するにしろ子供殺しはいけませんから、来週はなんとか生き残ってくれ、トーヤ。小屋、燃えてるぞ。不安です。
ほんとなんで狩人さんたちはバルサと戦う気まんまんなんでしょうね。来週予告の水車小屋が燃えるシーンが気になります。トーヤとサヤには幸せになってほしい…
送っていただきましたTBは、ミラーも活用しなるべく返させてもらっていますが、それでもTBが送れない場合があります。 日数経過状況により気がつかない場合があります。ご了承ください。
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