トウミ村の少女であるニムカから、卵食いラルンガの存在を聞いてしまったチャグム。
夜、布団に横になって落ち着いた様子を見届けたバルサは、空に浮かぶつきを眺めて、これからどうするか。それを考えて溜息を吐き出した。
第2皇子がニュンガロチャガになっている事には、トウミ村の長老も驚きは隠せない。
何なら春まで村でお守りしても構わないとの申し出に、しかしトロガイはそうもいかない事情があるとその申し出を受け入れない。
ニムカは、大変な事を言ってしまったと自分を責めるが、タンダは君は悪くないとニムカを慰める。あれは俺達の不注意だから、と。
そこへ戻ってきたバルサ。チャグムが眠った事を告げたバルサは、ニムカにさっきの話の続きを聞かせてくれるように頼む。
しかし口を開こうとしないニムカに、確か卵食いは見えないし触れないと言ったね、と切り出す。それはどういう事なのか、と。しかしニムカはそう教わっただけであり分からない。ただ、ニュンガロチャガを引き裂いた時には、その姿ははっきり見えた。大きな地面が、何本も地面から伸びてきた……。
爪が何本も。それは厄介だと言うトロガイ師は、ニムカに他に何か聞いていたのか問う。例えば、卵食いが嫌う何かを。しかしニムカは何も聞いていない。
喜ぶ話をしてあげられればいいのだけど、と謝るニムカ。ニュンガロチャガは、最初から卵食いに食べられる運命にあるのだと言う。
やはり、ヨナロガイが言っていた通りなのか。呟くトロガイ。タンダは、でもと言葉を紡ぎ、卵まで食われてしまったら、自分達はこうして水の恩恵を受ける事は出来なかったはず。つまり100年前は卵が孵ったはずだから、ニュンガロチャガだって……。
多分。ニムカは言う。ニュンガロチャガはラルンガに引き裂かれる事で、初めてサグに卵を落とせる。ニュンガロイムは、サグの海で生まれて、河をさかのぼって、ナユグの深い水の底に住み着く精霊なんだって。だから、1度こちらに卵を落とす必要がある。
その生まれ出た卵はどうやって青弓の水源から海まで行くのか。問うたトロガイに、田植え歌に出てくるように、ナージが卵を銜えて海まで運ぶと答えるニムカ。
田植え歌の3番に、そんな歌詞があるが、タンダはそんな歌あったかなと考える。それはヨゴの農村あたりでは少し下品と言う事で、あまり歌われなくなった一説なのだとトロガイは答える。
田植え歌から、ナージがニュンガロイムの卵を卵食いの爪から救って、海に運び、精霊となって雨を降らせると取れなくもない、とタンダ。
トロガイは、更に厄介な問題が出てきたと言う。それはナージの事だった。
ナージを直に見たのはいつか?聞かれて、最近とんと見なくなっている事に気づいたタンダ。それによって魔除けの骨も中々手に入らない貴重品となっている。
このままでは、チャグムを守るどころか、水の精霊さえ、無事に海に届ける事が出来ないかもしれない。
その頃、待機していたモンとジンに報告が入る。
シュガの現在位置を知ったモンは、明日の正午前にはトウミ村に着けそうである、と。
シュガは大分疲れてはいるようだが、何とか……。
ジンに、トウミ村に探りを入れに行かせたモン。そして、スン達も。
向こうの母屋にいると、村長とニムカは退席する。
残されたバルサ達。タンダは、いくらバルサでも、見えない相手とは戦えないよな。いっそ遠くに……と言うも、バルサは駄目だとそれを否定する。この場から逃げても、背負った運命からは逃げられない。
バルサは必ずチャグムを守って見せると決意し、トロガイに何か手がないか問うが、それはトロガイにも分からなかった。
春までは時間がある。別の手を考えようとタンダ。それに、宮に追っ手が出ているとしたらここもそう安全ではない。別の場所に移動しなければならないと提案する。
ならば、と考えた移動先は狩穴。
バルサ達が話し合いをしている頃、ニムカはチャグムの下を訪れる。しかし寝ているはずのチャグムの姿はそこにない。チャグムは隅にぼうっと突っ立っていた。
先程の事を謝るニムカ。しかし、あそこで言ってくれなければ俺は何も知らないままだった、とチャグム。
おかげで決心が付いたチャグムは、1人で宮に帰る決意をする。
精霊の卵のせいで、俺ばっかり恐ろしい目にあう。こんなのはもう嫌だ……。涙を流しながら言葉を紡ぐチャグム。
そして歩き出したチャグムの手を、ニムカはぎゅっと握り締める。連れてってあげる、と。
早朝。バルサは、ニムカがそちらにお邪魔していないか?と問われる。バルサは母屋に帰ったはずだと答えるも、その女性が言うには、ニムカが帰った様子がない、と。
何かを思ったバルサは、急いでチャグムの寝床を確認するが、そこにチャグムの姿はなかった。
チャグムはニムカに手を引かれ、決して平坦ではない道を進む。それはトウミの人間しか知らない近道で、ここを行けば2日でヤシロ村の近くまで行けると言う。
そんなチャグムとニムカを追うバルサ。チャグムの足跡らしきものを見つけ、駆け出していく一方で、日が昇った頃にタンダ達もチャグムがいなくなった事に気づいていた。はバルサが追っているなら連れ戻してくるだろう、とトロガイに言われ、トロガイと共に旅の準備を始める事にした。
さりげなさを装って、村人に話を伺う狩人がいた。村長のところにいる事、2人の他にヤクーの旦那と呪術師もいるという事。もうどこかに出発したかもしれないと言う事。
そこまで聞いたその狩人は、指笛でシュガや仲間を呼び揃えると、村へと入っていってしまう。
何か、違う景色が見えたような気がしたんだ。
道を歩いている途中で、ふらりとバランスを崩したチャグムは、ニムカに対してそう答えた。しゃがみ込んでしまったチャグムに手を差し出そうとしたニムカ。しかしそこに鳴り響いた、何かが岩にでも突き刺さるような音。
そこにいたのはバルサ。チャグム、村へ戻るよ。バルサはそう言うが、チャグムはそれを拒否する。
どうして何も教えてくれなかったんだ。卵食いの事、俺が死ぬって事。分かってたんだろ?
問いを肯定するが、教えなかったのは確実な事が分からなかったから。お前をむやみに苦しめたくなかったんだ、と続けるバルサ。しかしチャグムはそれを嘘だとし、バルサは俺より卵のほうが大事なのだと声を荒げる。
それは違う、と言っても、チャグムは心を動かされる様子はなく、宮に帰る決意を変えない。バルサは自分の親じゃないから。俺の苦しみなんて、分からないから……。
するとバルサは、自分の短槍をチャグムへと放り投げる。
そいつで私を倒していきな。私はこうと決めたらテコでも動かないからね。お前を宮には行かせない。それでも行くってんならそいつを取りな。
チャグムは、バルサの態度を見て、槍を取り握り締める。
バルサがいくら強くても、巨大な爪の怪物には敵わない、宮に帰って、シュガと母君に守ってもらう。そう叫んで、チャグムは槍を構えて駆け出すが、それはバルサには届かなかった。
降ってきた平手。親に刃物を向けるとはどういう了見だ、と声を荒げるバルサ。そして、自分1人で逃げ出すな、と。私はお前が守るから、精霊の守り人なのだから、最後まで卵を守って戦えと続ける。
命に代えても死なせないから、信じておくれと言う言葉。
チャグムは何で俺なんだ、と呟きながらひたすらに涙を流す。そして、ニムカからもいつのまにか……。
トウミ村に乗り込んで来た狩人達。
村人の1人が村長やタンダ、トロガイのところへ宮の追っ手が来た事を告げると、私が話をつけると村長が狩人達の下へと向かう。
ここに第2皇子が来ているはずだから渡して欲しい、とのシュガの申し出を出来ないと断る村長。皇子は、シュガ達にとっても大事な存在であるが、それと同時にヤクーにとっても大切な存在だった。
動じる気配を見せない村長に、最初に怒りを荒らしたのはモンだった。
大人しく頼んでいるうちに、皇子を渡せ。さもなくば村が地図から消える事になる、と物騒な言葉を吐いた後、バルサに対して、今度は総力でお前を倒すと声を荒げる。
そんな騒ぎの時、姿を見せたのはトロガイ。バルサとチャグムはもうここにはいないと告げたトロガイは、自分が話を聞くと言う――。
自分の末路を聞いて、取り乱さないわけがないよな。チャグムが、宮へ帰りたいと思ってしまう気持ちも分からなくはないです。逃げ出したくなりますよな……。
しかしそんなチャグムを連れ戻そうとするバルサ。今回バルサ姐さん格好よすぎたな。
涙を流しながら、バルサを突こうとするチャグムは凄く悲しかったのですが、今回、チャグムの泣き顔に激しく萌えましたごめんなさい。
親に刃物向けるとはどういう了見だ。実際のところ、バルサ親じゃないけどね、親も同然だわな。何で俺なんだ、と涙を流すチャグム。本当に何とかしてほしいところ。
村に乗り込んできた狩人はかなりイメージ悪いな。つかあんなに沢山で乗り込んでこなくても、ってそれはバルサがいた時のためだわな。
あんな集団に立ち向かう村長格好よすぎる。シュガは、やはりどこか偉そうに見える気がしてならない。それにモンは短気な気がする。穏便に行けよ。
そんな狩人達を一喝したトロガイ婆さん惚れる。
次回、無事狩穴につけるみたいで、良かったです。つまりは、狩人達の追っ手が一旦だか分からないけど、引いたって事になると思うから。
送っていただきましたTBは、ミラーも活用しなるべく返させてもらっていますが、それでもTBが送れない場合があります。 日数経過状況により気がつかない場合があります。ご了承ください。
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