トウミ村にやって来た狩人達。
モンがどこかにいるであろうバルサに対して声を張り上げれば、何をぎゃあぎゃあ喚いてるんだい、とトロガイとタンダが登場する。
トロガイをじっと見つめるシュガ。タンダは、シュガが前に出会った事のある人物である事に気づく。
階段を下りて、シュガと狩人達の元に近づくトロガイ。お前星詠み博士か、と問えば、シュガは肯定した後、もっと早くに1度お会いしたかったと言う。
ふん。星詠みとも思えん発言だね、と言った後、ニノ妃に手紙を書かせたのがシュガである事を知ったトロガイは、ちょっとはまともな話が出来そうだと笑む。
若造の星詠み博士よ。是非お前の考えを聞きたい。
トロガイは語りだす。どうやら、ニュンガロチャガとなったあの皇子様は、来年の春の等しき日になると、渡り鳥が渡りを始めるように宴の地なる場所に旅立ってしまうらしい。しかもその時、ナユグからは卵食いもやって来る事が分かっている。
丁度産卵のために川を上ってきたトグリャをヒグマが食いに来るようにな。
そして、我等ヤクーの言い伝えによれば、その時精霊の守り人は卵食いによって殺される運命にあるらしい。
そこまで言って、途端ざわつくシュガと狩人達。皇子が、死ぬだと……?ジンが言えば、肯定するトロガイ。2度も言わせるなと声を荒げた後に間を空けて、シュガに対してどこまでニュンガロチャガの知識を持っているのかを問う。
しかしシュガはその問いには答えず、過去その運命から逃れたと言う話はないのですか、と問いを投げかける。少なくとも、ヤクーの伝承にはない。トロガイは答える。
すると口を閉ざしていたモンは、その話が本当ならばますます皇子を我等に返したほうがいいのではないかと口を挟む。その卵食いがどんなものかは知らねど、ヨゴには万を超す軍勢がいる。建国正史に書かれているような魔物が現れても、我等なら皇子を守る事は容易い。
……ほう?それが人には姿も見えず、触る事すら出来ない、ナユグの怪物でもかい。ナユグの者にとっては、宮を取り囲む壁や軍勢の槍衾など屁とも感じんだろうさ。いくら皇子を隠そうと、最後はナユグからその見えない爪で皇子を糸も簡単に引き裂いてしまうだろう。それでも、お前達に渡せば、卵くらいは何とかしてくれるって言うのかい。
そこまで話し終わると、シュガは自分のところには初代聖導師が残した碑文がある事を明らかにする。それを読み解けば、あるいは……。
トロガイはそこまで聞いて、そんな大層なものがあるのに、今まで読み解いてなかったのかい、と嫌味を1つ零す。
やはりそんなボンクラに、ニュンガロチャガを渡す事は出来ないとしたトロガイ。モンにヤクーならば皇子を守れるのかと問われ、当然だと答える。だからこそ、バルサは皇子を既に秘密の場所に連れて行っている。
バルサも皇子を返さないと言っているわけではない。皇子も卵も守りたいと言っているだけさ。皇子を助けたいと思うなら、その碑文とやらをさっさと読み解いて、春の等しき日に宴の地に来るが良い。我等はそこで、待っている。
訪れる沈黙。切り裂いたのはジンだった。くだらん、と刀を抜いた彼は、チャグム皇子は我等ヨゴの皇子。貴様等ヤクーの手を借りずとも、我等が守ってみせる。
ほう、この村の者全員を斬るか。それでこの大地と皇子を救えるんならそうせい。だが、何も知らずに皇子を連れ帰れば、ナユグも者の宮に向かう、と立ち向かうトロガイ。
止めに入ったのはシュガ。我等は知識が貴方方に比べて知識が不足している、今はこの者達とともにこの場を去る。そう決めたシュガ。しかし、春の等しき日までに必ず皇子を救う方法を携え戻ってくる。その時は皇子を我等に返して欲しい。
ジンはなおも口を開こうとするが、シュガに黙れと言われてしまう。春までは女用心棒に託すのがもっとも確実な手段である、と。
モンも、シュガ様の言う通りかもしれないと、ジンに刀を納めるように命令する。それでも不満顔のジンは、皇子は息災であらせられるか、と問う。トロガイがしっかりと頷く。
刀をそこでようやく納めたジン。シュガは、宴の地で会いましょうと言って頭を下げ、狩人達と共に村を後にする。
途中、ぴたりと足を止めると、タンダに対してそちはトロガイ師の弟子か、と。肯定すればあの時は世話になったと例を述べられたタンダ。カマキリの卵の話があったから、今ここにいる。感謝している。
覚えていたのか。俺の事。トロガイに会った事があるのかと問われ、1度扇の下の外れでと答えるタンダ。ほう、と漏らしたトロガイに、よくとっさにあんな嘘がつけましたね、と。しかしトロガイはまともに答えを返すでもなく、バルサが戻り次第狩穴に向かうぞ、と歩いていってしまう。
村への道を辿るバルサ、チャグム、そしてニムカ。ニムカは父親に殴られそうになるも、母親の説得でその拳を浴びる事はなかった。
朝が来て、トウミ村を旅立つ時が来た。ニュンガロチャガの事は任せておけ、と言うトロガイに、村長はよろしくお願いしますと一礼する。
ニムカからはシュクルの蜜がチャグムへと贈呈する。有難う、と感謝の言葉を述べるチャグム。その顔に、笑みは浮かばない。
そろそろ行ってみますと一礼するバルサ。そしてバルサ達が村を出た後に、ぞろぞろと出てきて集まってくる村人達。誰もが、頭を下げている。
何のために、頭を下げるんだ……?疑問に思うチャグムに、誰かが背負わねばならぬ運命を1人で背負った者への敬弔の念からじゃ、とトロガイ。
鳥が、ばさりと大空へと飛んで行った。
大急ぎで宮へ戻ったシュガと狩人。シュガが向かったのは、ガカイの部屋。
サグムが死んでしまい、職を失ってしまったガカイの声に力はない。
それに引き換えお前は、今や聖導師様と並ぶほどの実権を持つと聞く。何なりと申し付けたらどうだ。私に断る権限など、ないのだからな。どんよりと暗いガカイに、トウミ村に赴いて、星詠みの持つ知識が、ヤクーの地に遠く及ばない事を知った、と話し出すシュガ。ですが我々はその知識を上回らねばならない。
関係ない、とするガカイに、シュガは新ヨゴだけではなくナユルの地に住む者全ての問題であると言う。
ガカイに碑文解読の長になっていただき、力を貸して欲しいと頼むシュガ。ガカイ様はあらゆる学問に精通し、探究心の深いお方。この仕事を滞りなく進める事が出来るのは、ガカイ様を置いて他にはありません。
その言葉に、ガカイは心を動かされる。
狩穴へと確実に近づいているバルサ達。美しい紅葉。道を行くチャグムは殆ど話さない。
そして辿り着いた狩穴。少し放っておいただけで草が茂っている。それをむしって、タンダが岩を動かす。明かりを付けてくると入っていってしまったトロガイとタンダ。
残されたチャグム。振り向けば、バルサが木の幹に手を当てている。……ジグロ、帰ってきたよ。
狩穴へ下りてくるチャグム。あの背中が、前のようにしゃんとするようにしてやらなきゃね。バルサも後から狩穴へと下りていく。
狩穴の中は大分広い。玄関を抜けて右の穴には入ってはいけない。真ん中には泉が湧いていて、左が我が家。
今の向こうは動物の肉などを燻製にする部屋。あちらは食料や水の貯蔵庫。
目立った痛みはない様子の狩穴。ここは変わりませんね、何もかも昔のままだ。ジグロが死んでからは、1度も来ていなかったけど、とバルサ。
雪が降り始めた身動きが出来なくなる、と言う事でやる事は山積み。バルサ達は、冬篭りの準備を始める。
川で魚の捕獲。それは内臓を取って燻製にする。
仕掛けた罠で獲物を取って、それはチャグムに解体させる。腹を割いていくチャグムの様子をじっと見守るバルサ。
部屋は大分食料でいっぱいになり、十分冬を越せる量になった。
作業をしていたタンダに、虫こぶがあるかと問うバルサ。皮をなめしたいバルサは、鉢とすりこぎも借りていく。
その様子を眺めていたトロガイは、チャグムが随分とたくましくなってきたと呟く。口数が少ない事を心配するタンダだが、そればかりはチャグムが答えを出すしかない、とトロガイ。ニュンガロチャガの運命を引き受けるのは、あの小僧なのだから……。
作業中、小さく声を上げたチャグム。あかぎれになってしまっていました。
その手に薬を塗ってやるバルサ。痛そうにするチャグムに、我慢しな。この薬はしみるけどちゃんと効くからね。
私もお前くらいの時は、よくあかぎれをこさえたもんさ。その度にジグロがこの薬を塗ってくれた。普段は厳しかったけど、不思議とあかぎれの時は優しかった。
ジグロと言うのは、バルサを育ててくれた人の事か?とチャグム。育ての親で、命の恩人だと言うバルサに、チャグムはジグロの事を話して欲しいと頼む。
そうか。今が話す時かもしれないね。バルサは語りだす。
私が生まれたカンバルって国は、知ってのとおり青霧山脈を越えた所にある小国でね。そんなところでも、人は絶えず争いを起こしたがるものなんだ――。
シュガと狩人も遂に真実を知ってしまいましたね。彼等、意外とあっさり引き下がってくれて良かったです。でもジンが最後まで不満そうでしたね。シュガが物分かりのいい方で良かったと思います。今回は何か腰が低い感じで良かった。さすがにトロガイの前で偉そうには出来ないか。
しかしこれ、シュガいなかったら間違いなく戦いでとんでもない事に。いてくれてよかった。
前回の事から、バルサとチャグムに確かに感じられてしまう距離感。どことなくぎくしゃくした感じでしたが、最後で少し縮まったかなと言う感じ。
冬篭りの支度で、魚を抱えているチャグムに萌えてしまった。もう本当に可愛いんだぜ。ジンのむすっとした感じの表情にも萌えたけどね……。後、トロガイが格好よすぎて何だかドキドキした。すごいよ婆ちゃん。
次回、遂に過去話キタ。やばいよこれは楽しみすぎる。かなりわくわくしながら次回を待つ。
送っていただきましたTBは、ミラーも活用しなるべく返させてもらっていますが、それでもTBが送れない場合があります。 日数経過状況により気がつかない場合があります。ご了承ください。
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